*お取り寄せ品です。
メーカー紹介の欄にも書きましたが、当社の堀部はHL-P3ESRをこよなく愛しております。
所有する個体はいわゆる旧型でありまして、2020年に生産終了・完売となったモデルです。
音楽制作やリマスターエンジニアとしての仕事も承る堀部が『ヘッドフォンで制作作業を行った後、初めて空気中に実音を放射してモニターするためのスピーカー』という、大変重要な任務をこの個体は長らく担当しています。

あのBBCでモニタースピーカーとして採用された実績を有するメーカーです、サウンドチェックのような使徒が苦手なハズはありません。しかしよくあるモニタースピーカーのような『冷徹さ』を、Harbethのスピーカーから感じることがないのです。『自分が知っている楽器の音や人の声を、違和感なくキチンと再生してくれる』と、堀部は解釈しています。よってこのスピーカーでモニターすると『完成形としての音楽』を想定しやすいのです。
堀部がリマスター作業で、業務用ではない民生用機器を使うのは『リスナーさんが音楽を聴く環境になるべく近いシステムで、音楽制作を行いたい』という意志表明です。そういう観点で、P3ESRは不動のメインスピーカーなのです。
さて、ココからが本題。
そんなP3ESRが2020年にモデルチェンジを行いました。これはビッグマイナーチェンジといえるブラッシュアップだと思っています。ハッキリ言って外観は全然変わっていません。

右上が旧型、左下が新型であるHL-P3ESR XDです。
Reviewsコーナーの動画で詳細を説明しておりますが、一見して認められる外観相違点は、①背面のターミナル端子、②バッフルを組み付けている背面のネジの色、③サランネットのロゴマークの色(左が新型)くらいです。
ユニットについて。
ツィーターは同一のようです。激しく進化したのは、中低域ユニット(Harbethではウーファーと呼ばないようです)のコーン紙成形精度。パッと見た目に旧型との相違点は見受けられないのですが、実は相当に精度を上げたようです。

コーン紙の成形精度が向上すると、何が起こるのか。
いわゆる分割共振みたいな、ユニットが発声してしまう歪みが大幅に減ります。このユニットが受け持つ帯域がクリアーになることで、全体の再生音質が格段に上質になるワケです。もともとHarbeth社は、2Wayシステムにおける中低域ユニットを大変に重要視しております。要するに『音楽再生のキモ』になる帯域を、さらに磨き上げると。そういう方向性で改善を図ったようです。
これに伴い、内部のネットワークも進化。どうやら用いたパーツの多くはHarbethのスペシャルオーダー品らしいです。メインのスピーカーユニットとネットワークがブラッシュアップされれば、それは格段に垢抜けるワケです。
翻って堀部所有の旧型ですが。

(バッフルに貼られたシールも新旧相違点のひとつ)
新型と比較すると、やっぱりちょっとスッキリ感が薄くてマッタリしたカンジです。『旨みコッテリ』とも言えますが、正直に申しまして、コレは負け惜しみです。工業製品としての出来具合は、どうみても新型の圧勝です。新型は聴感レンジが格段に広い。低域から高域まで、音楽的かつ痛くないモニターサウンドをキッチリ描きます。
Harbeth P3ESR XDっていうスピーカーの音色に派手さはありません。重箱の隅を突きまくるような神経質さもありません。しかし音楽を上質に聴くためのポテンシャルは余りあるほど持ち合わせており、そして入力シグナルに対してはたいへん敏感に反応します。一旦このメーカーにハマってしまうと『代わりがないのよね』という事態に陥るワケです。
そして使い方について。
設置に対する反応がこれまた良くて、ズバリ言ってしまうと『使いこなしにそれなりの時間とスキルを要する』と、堀部は思っております。それが証拠に今回の新旧比較において、ウチの旧型を机上から降ろし、スピーカースタンドを用いた『床置き』にしたところ、いやいや伸び伸びと歌うこと!でもゴメンね、貴女には机上で頑張ってもらいたいのよと言い聞かせ、元のセッティングに戻ってもらいました。
小型スピーカーですが、日本の住宅で音楽を楽しむために必要な低域を十分に放出します。密閉型エンクロージャなので、比較的その低音はコントロールしやすいのですが、セッティング次第で音場の描き方が随分と変化します。購入をご検討なさっている方は、ご不明・ご不安な点をドシドシと弊社までお問い合わせ下さい。
オーディオって、楽しく音楽を聴くための装置だと思っております。P3ESR XDは『もう、一生これで良いんでない?』と思わせてくれる、数少ないスピーカーのひとつだと堀部は思っております。組み合わせるアンプによっても、きっと音の表情が変わるでしょう。一緒に楽しんでいきませんか?ウチのコは旧型ですけどね、今のところ・・
動画でレビューしています。ぜひご覧ください。
<<HL-P3ESR XD SPEC>> |
型式 | 2Way スピーカー(密閉型)
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ドライバーユニット |
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・中低域 | 110mm RADIAL2 コンポジット・コーン型
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・高域 | 19mm カスタムメイド・アルミニウム・ハードドーム型
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クロスオーバー周波数 | 3.8kHz(18dB/oct)
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インピーダンス | 6Ω
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出力音圧レベル | 83.5dB / w /m
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寸法(W×H×D) | 190×306×184mm
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重量 | 6.1kg
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入力端子 | バナナプラグ対応、シングル接続
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仕上げ | チェリー
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